ChatGPTを使っていると、「前に言ったことを覚えてる?」と感じる場面があるかもしれません。ですが、実際にはChatGPTは「記憶している」わけではなく、あくまで“覚えているように見える”よう設計されています。
この記事では、ChatGPTの「記憶」に関する真実を、仕組み・限界・誤解されやすいポイントまで含めて解説します。
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1. ChatGPTにおける“記憶”の2つの種類
種類 | 内容 | ユーザー操作 |
---|---|---|
セッション記憶(短期) | チャット内の履歴をもとに応答する。トークン制限で「忘れる」ことがある | × 操作できない |
記憶機能(長期) | ユーザーの好みや傾向を保存し、別のチャットでも活用できる | 〇 記憶をON/OFF、管理可能 |
2. セッション記憶は“記憶”ではない
そのチャットの中で、ChatGPTは直前までの会話を参照して返答します。ですが、それは実際に「記憶している」のではなく、履歴テキストを機械的に処理しているだけ。
そして会話が長くなると、古い情報はトークン制限の関係で消えていきます。つまり、長く会話すると“忘れる”ように見えるのは仕様です。
3. 記憶機能ONのときは何を覚えてる?
記憶機能をONにすると、ChatGPTはあなたに関する以下のような情報を保存します:
ただし、これはあくまで要約されたプロフィール情報であり、過去の会話の内容やストーリーの進行状況などは保存されません。
4. 「覚えてる風」の正体は“演技”
ChatGPTは、大量の会話データをもとに「自然な返し」を学んでいます。
そのため、ユーザーの発言に合わせて、あたかも記憶があるような反応を見せることがあります。
例:「それ、前にも話しましたね」
これは、実際にはその場の文脈をもとに“そう言う方が自然”と判断しただけで、記憶を参照しているわけではありません。
5. 記憶の中身は確認できる
記憶機能をONにしている場合、保存されている内容は以下の手順で確認・削除できます:
- スマホアプリ: 右上のアイコン → 設定 → パーソナライズ → 記憶 → 記憶を管理
- PCブラウザ: 左下のプロフィール → Settings → Personalization → Memory → Manage
ここに表示されている情報が、ChatGPTが覚えている「すべて」です。
6. なぜ「覚えていません」と断言するのか?
ChatGPTはあえて「私は記憶していません」と言う設計になっています。
これは次のような理由によるものです:
- プライバシーの安全性を強調するため(実際、個別の会話内容は保存していない)
- ユーザーの過信を防ぐため(信じすぎて誤解するリスクがある)
つまり、過去を覚えているように感じるのは“設計上の自然な振る舞い”であって、信頼性を保証するものではないのです。
結論:ChatGPTは記憶していない。でも“覚えてる風”は出せる
- セッション内の履歴は使うが、トークン制限で忘れる
- 記憶機能ONでも保存されるのは要約情報だけ
- 記憶っぽく見える反応は、文脈と学習による演出
ChatGPTを使いこなすには、この“限界”を理解したうえで、
「信じすぎず、見捨てず、上手に活用する」という距離感が大切です。
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